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 雪のなかへ墜落したおかげで、
 身がひきしまった。
 髪をきったおかげで、体もかるい。
 まっ白にそまった雪道にむかい、
 豊花はセーラー服の胸をはった。


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「これできょうが
 どんなにさむい雪の日でも、
 安心して京介をおいかけられるってものよ。
 ブルマもしっかりはいたことだし、
 さあ北風よ、かかってこい!
 いくらでも
 あたしのスカートをめくるといいわ!」

「だったらズボンをはけばいいのにさ、
 若い女の子って、
 冬でも足をだしたがるよね。
 まあ、ぼくとしては、そのほうが目の観賞になるから、
 とくに文句はいわないけどね」

 うしろから、ききおぼえのあるあかるい声がして、
 豊花は黒マントをひるがえしてふりかえる。
 スーツをきたやせがたの青年が、
 塀のような大男に傘をささせてたっていた。

「いつもしつこい『本家』の家長と、
 いつもおつきのでかい副家長!」

 豊花がほおをこわばらせると、
 遠峰秋一(とおみねしゅういち)は
 「やあ、いつも元気でかわいいけど
 ひとさわがせな豊花ちゃん」と、
 あっさりした表情でいってくる。

「そんなに髪を短くしちゃって、
 一瞬、京介くんが血迷って女装しているのかと
 おもっちゃったよ」
「ぶきみなことをいわないで。
 なんの用よ、あたしはいそがしいんだから」
「京介くんの追跡はぼくたちでやるから、
 君はブルマをぬいで、あったかい部屋でまっていなよと、
 伝えたくてね」
「そんなちょっとやさしそうなことをいって、
 また京介にいじわるをするつもりなんでしょう、
 このサド家長!」
 豊花が歯をむきだすと、
 遠峰は「ひとぎきのわるいことを
 いわないでほしいなあ」と、スーツの肩をすくめる。

「ぼくは心底やさしくて、
 愛妻家でも有名なんだよ。ねえ、石田?」
「そうですね、ドS家長」と、
 副家長の石田が傘の下で低くうなずく。

「ふん、あんたのお嫁さんは、
 よっぽどできたひとなのね。
 どんなひとか、みてみたいもんだわ」
 豊花がセーラー服の腕をくむと、
 家長は「じゃあ、ぼくの家で
 嫁とたのしくお茶でものんでいてよ」とほほえんで、
 革靴の足を豊花にふみだしてくる。

「ぼくは『本家』のトップで、
 部下を管理する責任があるんだよ。
 いくら能力があるからって、君たち双子に
 いつも勝手なことをされると、こまるからね。
 さ、その追跡用の術具を渡して」

 豊花が糸電話をにぎりしめて、
 ひえたくちびるをかんだとき。

「そこまでですよっ、秋一さん!」

 遠峰たちのうしろに、
 高価そうな毛皮のコートをきた少女が、ぴょこんとあらわれた。

「くらえですよ、お嫁さんクラーッシュ!」

 そして少女はもっていた術者の杖を、
 なんのためらいもなく『本家』トップへふりおろした。

 ごつんと音がして、家長が「ぎゃふっ」と雪道にぶったおれる。
 石田が傘をてばなし、あおざめた顔で少女にさけんだ。
「奥さま、なぜここに!
 いやそのまえに、
 なぜ家長にたいしてそんなことを!」
「おだまりですよ石田さん、上司の妻アターック!」

 ばぎっと音がして、副家長も「げふっ」と粉雪に巨体をうめた。

 しーんと、雪道を静寂が支配し、
 しばらくのあいだあぜんとしていた豊花は、
 ほほをひきつらせて少女をみつめる。

「あ、あんたは……
 前に、術者の研修でいっしょだった瑠々(るる)じゃないの!」

「おひさしぶりですねー、豊花ちゃん」
 毛皮のコートをきた少女は、
 研修生時代とかわらない笑顔で
 手をふってくる。
「あらまあ、そんなに髪を短くしちゃって、
 一瞬、京介くんが血迷って女装を……」
「あんたまでいわないでよ!
 ああ、そんなことをいってるばあいじゃなくて、
 どうして瑠々がお嫁さんクラッシュだの
 妻アタックだのをするのよ。
 ……も、もしかして、
 家長のお嫁さんって……!」

「あらあら、わたし、研修科の卒業式の日に、
 ちゃんと報告しましたよねえ?
 わたしの卒業後の進路は、
 『本家』のえらいひととの結婚ですよーって」
「それは衝撃的だったからおぼえているけど、
 その相手が家長だなんて、
 はじめてきいたわよー!」
「ま、わたしもいまはじめていいましたけどねー。
 あ、卒業式の日のことは、
 文庫には収録されていませんので、
 ザ・スニーカーのバックナンバーをよんでくださいねー」

「ああ、ひさしぶりの瑠々が
 ひさしぶりにやっぱり意味不明なことを
 どこかにむかって宣伝している……。
 でも、笑顔のサドな夫と、天然腹黒の妻って、
 おにあいといえば、おにあいなのかも……」
「いやーん、そんなにほめられたら、
 てれるじゃないですかー」
 瑠々はうれしそうに身をくねらせて、
 足もとにたおれさせた夫の体を、
 これまた高価そうなヒールのかかとで
 ぐいぐいとふんづけた。

 家長たちが雪のなかでうめき、
 瑠々が「さあ、豊花ちゃん」と、
 道のさきを術者の杖でしめす。
「いまのうちに、はやくいってください」
「瑠々、
 あたしをたすけにきてくれたの……?」

「うふふ。わたし、いままで古風なお嫁さんらしく、
 ずっと秋一さんのすることをだまってみてきたんですけど、
 もう限界なんです。
 わたしがつぎの家長になって、
 これから本家をげんきにたてなおします。
 もう京介くんや豊花ちゃんを、
 くるしめたりはしませんからね」
「瑠々……ほんとうにありがとう!」
 目がしらに熱をかんじながら、
 豊花は同窓生の手をにぎりしめる。
 瑠々はあかるくほほえんで、
 うなずきかえした。

「かならず京介くんをみつけてきてくださいね。
 なんたってあのひとは、
 べんりにこきつかえる部下ナンバーワンなんですから」
「……天然腹黒妻め、
 五秒前にいいことをいったのに、
もう忘れていやがる……」


その3へつづきます☆



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プロフィール
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椎野美由貴
性別:
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小説家、楽しいものをたくさんつくるひと!
自己紹介:
ようこそいらっしゃいませ!^^ 小説家の椎野美由貴です。「バイトでウィザード」や「螺旋のプリンセス」などを楽しく書かせていただいております☆ 詳しいプロフィールは→こちら にてどうぞ☆
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