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 白玉一号の糸電話にみちびかれて、
 街のはずれまで豊花がいそぐと、
 雪にそまった丘にたどりついた。
「豊花っち、たいへんです!
 おにいさんが……!」


 白玉一号がゆびさす丘のうえに、
 ふたつの人影がむかいあっているのをみつけて、
 豊花は息をのむ。

 ひとりは、
 学生服に黒い杖をかまえた少年。
 さがしていた双子の兄だ。
 そしてもうひとり、
 髪をポニーテールにゆった少女をみて、
 豊花はすぐに走りだす。

「久画均精(くかくきんせい)の
 泉見(いずみ)なつき!
 『本家』につかまったはずなのに、
 どうして!」

「……あのひとなら、
 ぬけだすくらいかんたんよ。
 あのひとも、もともとは
 術者の一族出身なんだから……」
 うしろから息ぎれをおこした声がこたえてきて、
 豊花はふりかえる。
 病院にいるはずの礼子が、
 ふらつきながらもおいかけてきていた。

「礼子、走ったりしたらだめじゃない!」
「ごめんね、やっぱりわたしも、
 京介くんが心配で……」
 くるしそうに胸をおさえて、
 礼子が地面にひざをつく。
 豊花ははおっていた黒マントをぬぎ、
 白い息をはいている礼子にかけてやった。

 すると、丘のうえでも、
 なにかのたおれる音がにぶいひびく。
 ポニーテールの少女につきとばされて、
 学生服の少年がたおれていた。

「京介!」

 豊花がかけよると、
 薄目をあけた兄がこちらをみあげて、
 くるしそうにうめく。

「……豊花……
 ちょっとみないあいだに髪が短くなって、
 まるでおれとおなじ顔じゃないか。
 このくるしいときに、
 わざわざもっとくるしめてくるなんて、
 おまえらしいな……」
「あほなことをいってるばあいじゃないわよ、
 あんた、きずができているじゃない!
 無効治癒体質が進行しているときに、
 こんなケガをしたら……!」

 豊花が歯をくいしばると、
 泉見なつきが
 「あんたの兄貴が、
 よけいなことをしようとするから、
 力ずくでとめただけだよ」と、つめたく笑ってきた。

「この丘のうえで古代術をつかうと、
 光儀大神(こうぎたいしん)を復活させられるんだよ。
 術本のうつしのすみに書いてあることを、
 あんたの兄貴は
 きづいてしまったみたいでね。
 神に直接ねがいをとどければ、
 術なんかよりも
 ずっとおおきな力を得ることができる」

「光儀大神って、
 光流脈の本体の神さまよね。
 復活なんてさせられるの!?」

「術さえうまく、発動できれば……」
 京介が古代術専用の黒い杖にすがりついて、
 立ちあがる。

「光儀大神には、
 無限にねがいをかなえる力がある。
 だけど、神の力はおおきすぎて、
 術者が直接、声をとどけられるのは、
 数秒間が限界みたいだ。
 欲をはって
 それ以上そばにいると、
 肉体が崩壊してしまうらしい」

「でも数秒もあれば、
 京介と礼子のことをたのむのには
 じゅうぶんよね!」

「だけど……
 おれには古代術をつかえる潜在精神力があっても、
 そいつにじゃまされて、体力が……」

 よろけた京介をいそいでささえる豊花に、
 なつきが「じゃまするにきまっているじゃない」と、
 あごをそらす。

「ずっと地中にうまっていた神が復活なんてしたら、
 この世界が、あたしの理想とするほろびの世界から、
 またとおくなってしまうからね。
 だから」

「いいかげんにするですよっ、この陰険ポニーテール、
 兄嫁ボンバー!」

 なつきのうしろに瑠々があらわれて、
 ぼかんと音がして、
 陰険ポニーテールは「ばふっ」と雪の丘にぶったおされた。

「さあ、これでじゃまものはぜんぶかたづきましたよー」
 瑠々は堂々とピースサインをみせた。

「ちかくをあやしくうろついていた拝呪(はいじゅ)能力者さんも、
 ぶったおしておきましたからね。
 さあ京介くん、
 安心して術に集中してください」
「……さいしょからおまえがでてくれば、
 久画均精もなにもかも、
 もっとかんたんにつぶせたんじゃないか……」
 京介がつぶやくと、
 瑠々は「いやーん、そんなにほめられたら、
 てれるじゃないですかー」と、うれしそうに身をよじった。

「あ、それと
 このひとも途中でみつけたので、
 いっしょにつれてきました。
 ぶったおすかどうか迷ったんですけど、
 このひとって、古代術にくわしんですよね?」

 瑠々の背後からあゆみでてきた髪の長い女性に、
 京介が眉をよせる。

「深廉寺華奈(しんれんじかな)……。
 あんたは、記憶をけされたんじゃ……」

「けされたふりをしていただけです。
 うすらばかの家長の処置なんて、ききません」
 華奈がしずかにこたえ、
 京介の姿をみて、ちいさく息をはいた。

「あなたのいまのその状態で、
 光儀大神を復活させるほどの
 おおきな術をつかったら……
 まちがいなく命に影響しますよ」
「やめて、京介くん!」
 礼子が丘のうえに、ふるえる足でのぼってきた。
「……だけど、
 ほかに方法がないんだ」
 京介がくちびるをかみ、
 黒い杖に指を強くからませる。

「はやくしないと、
 礼子の自滅現象もすすんでしまう。
 時間が、もうない」
「だれかほかに、
 古代術をつかえるひとをさがして、
 たのめないの!?」
 あせりながら豊花がたずねると、
 瑠々が「ほかにつかえるひとがいないから、
 秋一さんは京介くんを
 こきつかいまくっていたんですよねえ」と、
 眉をさげる。

「古代術をあつかうための潜在精神力を、
 一時的に自分の体から、
 他人の体へうつすことが、術でできます」
 華奈が空からふる雪をみあげ、いった。

「ただし、力を渡す相手の潜在精神力が、
 完全なゼロでなければ成功しません。
 どんなに能力の低い術者でも、
 わずかなりの潜在精神力は、
 だれでももってうまれてくるもの。
 すっからかんにゼロのまれな術者など、
 なかなかいるものではありません」

「あたし、潜在精神力ゼロだわ!」

 豊花はばしっと手をうち、
 すぐにその手でガッツポーズをつくった。

「こどものときの検査でそういわれたって、
 前にきいたもの!
 京介はおなじ検査をうけて
 高い数値が出たせいで、
 華奈に利用されたんだったわよね!」

「まれな術者が、
 こんなちかくにいましたか……」
 華奈がうなり、
 京介が豊花をみつめてきた。

「豊花……
 協力してくれるか」
「あたりまえでしょう、
 あたしとあんたは、
 仲よしの双子の兄妹なんだから。
 お年玉と、つぎの術者の報酬と、
 夏のボーナスその他もろもろまとめたお金で、
 いさぎよく手をうつわ」
「『仲よし』と『いさぎよく』の使いかたが、ちがうとおもうけど、
 とにかくまあ……ありがとう」
 ためいきをつきながら、
 京介が華奈にたずねる。

「どうやれば、
 潜在精神力を渡せるんだ」
「呪文にのせて、
 相手にこちらの呼気を
 直接ひびかせるんです。
 ですから――」
 華奈は、表情をかえずにこたえた。

「くちうつしがいいでしょう」

 礼子が「ひい、嫉妬!」とさけび、
 豊花もおおいそぎで首をよこにふる。

「むちゃいわないでよ!
 いくら仲よしでも、
 あたしたちはそういう仲の兄妹じゃないし!」
「おれもいまのこの状態で、
 豊花にくちをちかづけるほどのことをしたら、
 まちがいなく命に影響する」
「きーっ、まるであたしが
 キスをする気もおこらない子みたいないいかたを
 するんじゃないわよー!」

 豊花がどなって京介の首をしめて
 命に影響をおよぼしかけていると、
 足もとで白玉一号がよびかけてきた。
「豊花っち、
 これをつかったらどうですか?」
 そういって小精霊がさしだしてきたものは、
 豊花の髪でできた、糸電話。

「そうか!
 糸電話なら直接ひびくわ!」
 糸電話のコップを渡すと、
 京介が「たのむ」といい、豊花はうなずく。

「命芯、転送。――発動」

 双子の兄の呪文と呼気が、体にひびいてきた。



その4へつづきます☆

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プロフィール
HN:
椎野美由貴
性別:
女性
職業:
小説家、楽しいものをたくさんつくるひと!
自己紹介:
ようこそいらっしゃいませ!^^ 小説家の椎野美由貴です。「バイトでウィザード」や「螺旋のプリンセス」などを楽しく書かせていただいております☆ 詳しいプロフィールは→こちら にてどうぞ☆
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