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「知ってるか?
 この学校には魔女がいるんだってさ」
 すれちがった他校の男子生徒たちがそんな話をしていたので、
吉乃聖(よしのひじり)
ブレザーの肩を思わずびくりとふるわせた。

 そんな聖のしぐさが目についたのか、
 学生服をきた生徒たちが足をとめ、ちらりと見る。
「風戸里(かざとり)高校の生徒だな」
「男の制服をきているくせに、女の子みたいな顔だな」
「男の制服をきているくせに、背がひくくて体つきもほそっこくて、
ショートカットの美少女って感じで
めちゃくちゃかわいくないか?」

 肩をふるわせる聖の右どなりから、
 「なんじゃらげ」と野太い声がとどろく。
 聖とおなじじ風戸里高校のブレザーをきた大柄な男子が、
 他校の生徒たちにぐわっと前歯をむく。
「ワシんほっぱみんてひぽひぽはなおって、
 けっぱがんたらあいたんしやるっぱ!」

 だれも理解できないほどの、方言だった。
 他校の男子生徒たちは眉をひそめて、
 さらにぼそぼそと話しだす。
「高校の制服をきているくせに、
 高校生とはとても思えない塀みたいな
 おそろしい体格だぞ」
「高校の制服をきているくせに、
 目つきもおそろしくて、
 野ばなしにされた凶悪犯罪者みたいだぞ」

「じゃらげー!」と、
 男子生徒がざんばら髪をふりみだし、腕をふりあげる。
 他校の生徒たちが「ぎゃあ」とすくみあがり、
 もう全身をふるわせるしかない聖の左から、
 今度はよくとおる声がとんでくる。

「やめろ堀木。
 ここであばれるつもりなら、
 おまえは『野ばなしにされた凶悪犯罪者』から
 『野ばなしにされたけど
 やっぱりつかまったあほな凶悪犯罪者』に
 なるぞ」

 ビニール傘をつきだしながらそんなことを言ったのは、
 すらりとした体に
 風戸里高校のスクールセーターをつけた少年。
 ととのった顔だちをした少年は、
 無造作にのびた前髪のむこうから、
 まっすぐな視線をとばしてくる。

「地球人とは二度とケンカはしないって、
 約束したよな。
 それができないなら、
 おまえのその方言が
 ]おもうぞんぶん
理解される土地へ
 すぐに強制送還させるって、
 約束もしたよな」
「すっ、すんませんっす果月(かづき)さん、
]
 ワシがわるうございましたっぱ」

 巨漢の生徒が急におとなしくなったので、
 他校の生徒たちはいっそう怪訝な顔つきになる。
「すごいぞ、
 なんだかわけのわからないことを言っただけで
 凶悪犯罪者を降伏させたぞ」
「こんなに晴れているのに
 ビニール傘をもっているのも
 よくわからないぞ」
「ところでどうして風戸里高校の]生徒が、
 おれたちの学校へ歩いていくんだ?」
「今日の放課後、
 委員会の交流会があるってきいたから、
 それじゃないか?」
「あっちの生徒は個性が強そうだから、
 おれたちの学校は負けちゃいそうだなあ」

 下校道に、西側からやわらい日ざしがふりそそぐ。
 そよ風が街路樹の間を通り過ぎ、
 とりあえずほっと息をはく聖のまえで、
 「『負けちゃいそう』、だってさあ」と言いながら、
 風戸里高校の上級生が
 ブレザーのすそをゆらしてふりかえった。

「毎年恒例、
 ただの雑談会でおわる風紀委員の交流会に、
 勝つも負けるもないのになあ。
 ねえ? 一年七組の吉乃聖くん」
 風戸里高校で風紀委員長をつとめる男子生徒に
 そうよびかけられ、
 聖はあらためて肩をふるわせる。
「ぼくにいわれましても……」
「やだなあ、そんなに緊張しないでよー」
三年の安藤は、気楽そうに手をふって笑う。

「ぼくは風紀委員長でも、
 ゆるいほうだからねえ。
 吉乃くんが
 男装している美少女にみえたとしても、
 べつに校則違反でもないし。
 まあ、もしもだけど、
 吉乃くんがほんとうに女の子で
 性別をごまかして入学したんだとしたら、
 とっても問題かもしれないけどさあ」
「あうう、そ、そんな!」 

「おい、にやけ顔の委員長。
 にやけているひまはあるのか」
 聖のとなりで、
 スクールセーターの少年がふみだした。

 ビニール傘で自分の肩をたたきながら、
 少年はいぬくような視線を委員長にぶつける。
「これから始まる交流会とやらの詳細を、
 おれはまだきいていない。
 戦略や勝算があるなら、
 今のうちに伝えておけ」
「……一年七組の果月直哉くん……、
 ただの平和な交流会に、
 戦略も勝算もないのに、
 いったいどうして
 そんな発想になるのやら……」
 委員長がほほをひきつらせた。

「君は、学校にほとんどこない
 長期欠席者なのに、
 ものすごいオーラとパワーを感じるよ。
 ふつうの男子に見えるのに、
 なんだかぼくたちとはちがう世界の
 人間に感じるっていうか……」
「あたりまえじゃら!」
 巨漢の男子が、とくいそうに口をはさむ。
「なんたって果月さんは、
 天箱園(てんそうえん)の]宮廷廷騎士団から
 この世界につかわされてきた、
 風戸里『要塞』所属の派遣騎士――
 ごふじゃげっ!」

 堀木の発言を、
 ビニール傘の一撃が阻止する。
 果月直哉は
 なにごともなかったように傘をおろしながら、
 委員長に強い視線をなげた。

「おれと聖は、
 風戸里高の風紀委員じゃない。
 今日のおれたちの
 とびいり参加を許可してくれたことには
 感謝するが、
 部外者がいても問題のないあつまりなのか」
 委員長は
「いま、騎士とかいわなかった?」
 と首をひねったあと、
 笑顔になってうなずく。

「もちろん、問題ないよ。
 年に一回、ぼくたち風戸里高校と、
 これからじゃまする学校の委員があつまって、
 さっきもいったように、
 雑談会でおわっちゃう会だからね。
 あちらの委員会が
 お菓子を用意してくれたりして、
 毎年なごやかな雰囲気だし――」

「はむみゅっ、お菓子!
 葉村(はむら)]も食べたい!」

 どこからか甲高い声がした。

 委員長が首をかしげ、
 直哉が肩にかけたふるいスポーツバッグが、
 もこもことうごめく。

 あせる聖のとなりで、
 直哉がバッグの表面をおもいきりひっぱたき、
 バッグのなかから「はむん」という鳴き声がする。
「いまのは、空耳だ」と、
スクールセーターの少年はなにくわぬ顔で、
いいきった。

「いやあ、それにしても、
 今年は吉乃くんと果月くんが
 参加してくれてよかったよ」
 委員長がふたたびあるきだしながら、いった。

「きらくな交流会だからって
 サボる委員がおおくてね。
 吉乃君たちの七組の委員も、きていないだろう?」
 委員長がふりかえり、聖も視線をおう。
 聖たちからすこしはなれた位置で
 ブレザーをきた風紀委員の男女が6名ほど、
 どこか緊張した表情で、あるいている。
「ま、サボりがおおいのは、
 あちらの学校もにたかんじなんだけど――」
 と、委員長がはなしつづける。

「人数はすくなくても、
 あちらには風紀についてかなり熱心に語れる
 りっぱな委員がいてねえ。
 ぼくたちの学校にも、
 ああいう人材がほしいものだよ。
 で、吉乃くんたちは、
 どうしてとつぜんこの交流会に
 参加したくなったんだい?」
「ええと、それは……」
 
 このあいだ、「地球での反省と奉仕をしめすために、
 高校で委員会活動もはじめますじゃら」と、
 もと異次元犯罪者の堀木が言いだした。
 だがチンピラ時代のくせがぬけきらなくて、
 堀木はしょっちゅうさわぎをおこす。
 
 よって、地球査察庁である聖と、
 派遣騎士である直哉は、
 堀木の監視をそのつど、おこなわなければならない。
 聖たちが交流会に参加した理由も、
 堀木が他校で地球人にめいわくをかけないかどうか、
 みはること。

 だがもちろんそんな真相を、
 一般地球人である委員長に
 おしえるわけにもいかない。

「風紀委員の活動に、まえから興味があったからだ」
 聖のかわりに、直哉が上級生に堂々とこたえた。
「交流会でさらに興味がわいたら、
来年は委員に立候補してもいいと思っている」
「あー、そうだったんだ」
 と、委員長がきげんよさそうにうなずいた。
「さあみんな、はやく行こうか。
 あちらの委員さんは、もうまっているだろうからね」

 委員長がすすでいく道のさきには、門がみえた。
 校舎からでてくるのは、
 学生服とセーラー服をきた生徒たち。
 他校の生徒にたいし、
 堀木はそのつど、ガンをとばしている。

「……堀木くん、だいじょうぶかなあ……」
 聖が眉をさげると、
「心配するな」
 と、直哉が言った。
「聖がこまるような事態の発生は、
 おれがぜったいに阻止する。
 堀木があばれそうになったら、
 おれが全力でとめる」
「直哉が全力をだすと、
 それもまた大さわぎになりそうで
 心配なんだけど……」

「はむるん、聖、へいきだよん」
直哉のスポーツバッグから、
かんだかい声がこたえる。
ファスナーが内がわから勝手にひらき、
猫サイズの巨大なハムスター風生物が、
ぴょこんと顔をだした。

「はむふふ、
すてきな騎士の補佐の葉村もいっしょにいるし、
それに念のためのに、
湖子(ここ)もよんであるからね」

「湖子さんもきてくれているの?」
「はむがっつ、
 むこうの学校のどこかに
 待機してもらっているんだよ。
 だから聖も心配しないで
 交流会をたのしんだらいいよ」

「楽しむ、かあ。
 考えてみれば、ぼくっていままで
 部活も委員会もやったことがなかったから、
 よその学校にくるのははじめて。
 ちょっと、わくわくしてきたかも」
「よかったじゃねえか」
 となりの騎士がいい、
 聖は笑みを返そうとしたが、
 さきほど他校の生徒たちが
 話していたことを思いだして
 ハッとなる。

「……でも、さっきのひとたちが、
 『この学校には魔女がいる』なんて
 へんなことを言っていたよね……」

「――『魔女』?」

 直哉がスクールセーターの腕をくんだむ。

「湖子がとりよせた資料によれば、
 そこの学校で、
 地球人になりすましている異世界人の数は、ゼロ。
 教師もふくめて、
 全員ふつうの地球人らしいぞ」
「そっかあ……。
 でも、ふつうの地球人学生でも
 魔女みたいなすごい力をもっている
 生徒がいるとか、そういう意味なあ……」

「はむむ、そうだねえ。
 かんがえてみれば、放課後っていかにも
 魔法使いとかが
はりきって活動しそうな時間だよね」

「……どうしよう、
 ぼく、なんだかこわくなってきた……」

 聖を見おろし、直哉がふっと不敵な笑みをうかべた。
「魔女だろうと魔物だろうと、
 たおすべき相手がいるとおもうと、
 おれはわくわくしてくるけどな」
「あっ、直哉、まって、おいていかないでよう」
 強気な騎士が大股であるきだし、
 聖はあわててあとをおう。
 急ぎすぎたせいで校門の手前で
 聖はべしゃっと地面にころんだ。

「ドジ王女め、
 ほかの学校でもわざわざ
 ドジっぷりを披露することないだろうが」

 直哉が聖の手首をつかみ、
 ひっぱりおこしてくれる。
 聖の目に、校門にかかったフダがはいり、
 そこにはこう記されていた。

 県立虹原高校、と。


(2)に続きます☆


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からあげファンタジーPVその3!!
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からあげファンタジーPV!!
プロフィール
HN:
椎野美由貴
性別:
女性
職業:
小説家、楽しいものをたくさんつくるひと!
自己紹介:
ようこそいらっしゃいませ!^^ 小説家の椎野美由貴です。「バイトでウィザード」や「螺旋のプリンセス」などを楽しく書かせていただいております☆ 詳しいプロフィールは→こちら にてどうぞ☆
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