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「といったわけで、
 これより風戸里高校と虹原高校の
 風紀委員交流会をはじめるとしよう!

 ちなみに司会のこのわたし、
 虹原高校の風紀委員長、
 長谷常彦(はせつねひこ)は、
 祖父母から飼いイヌにいたるまで、
 すべてが風紀とりしまり役をになった経歴のある
 じつにかがやかしい一族の出身であり……」


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 学生服の第1ボタンまでしっかりとめ、
 ぶあついメガネをかけ、
 黒板のまえでぺらぺらとかたる
 司会の男子をながめ、
 いっぱいしゃべってすごいひとだなあと、
 聖はぼんやりとおもった。
 
 虹原高校の教室で、
 交流会はさっそくはじまっていた。
 会議用の長机を2つ置き、
 片がわに虹原高校の生徒たちが、
 むかいがわには
 聖たち風戸里高校の面々が、すわらされた。

 机のまんなかには、
 お菓子のふくろやペットボトルの飲み物などが、
 ならんでいる。
 聖の右の席では、
 果月直哉がイスにふんぞりかえるようにして
 長い脚をくんでいた。
 ビニール傘とスポーツバッグは
 イスの下に置かれ、
 バッグがずっともこもことうごいているのは、
 なかに巨大ハムスターが
 机のうえのお菓子を
 気にしているからだろう。

 聖の左のイスは、
 巨体な堀木の重さにたえきれず、
 ぎしぎしときしんでいた。
 まわりにすわる両校の風紀委員たちは
 みんな顔と体を、
 緊張気味にかたまらせている。
 虹原高校の長谷は
 15分ちかくも熱くかたりつづけ、
 風戸里高校の委員長だけが
 「長谷くんの風紀トークは
 いつきいてもりっぱだなあ」と
 感心していた。

「……ん?」

 聖はふと、自分にむけられてくる視線を感じ、
 顔をあげた。

 机のむかいがわ、
 聖の正面にすわった虹原高校の女子が、
 スナック菓子をもしゃもしゃとたべながら、
 聖をじっとみつめてきていた。
 
 長い髪をふたつにたばねた、
 活発そうな女子だった。
 だが、かわいらしい顔つきをしていて、
 髪型は耳をたらした野ウサギみたいなわりに、
 女子は獲物をかる肉食獣のような目で
 聖をみつめてきた。

 なんだろうこの子は、と、
 聖は息をのんだ。
 ばりばりばりと、
 女子がせんべいをかみくだく音まで
 攻撃的にきこえてきて、
 聖はふるえだす。

「どうした、ドジ王女」
 直哉が聖のふるえに気づいてくれて、
 耳もとでたずねてきた。
 聖は「はうう」とうなりながら、
 そっと女子のほうをさした。
 
 机のむこうがわでは、
 ほっぺたをまるで葉村のように
 お菓子でふくらませた女子が、
 となりにいる男子を
 ひじでつついているところだった。
 兄妹なのか、その男子の顔は
 女子にそっくりだった。

「ねえ京介、みてみて」

 女子が聖をさすと、
 男子もゆっくりと
 聖のほうにねむたそうな視線をよこしてきた。

「すごいでしょう、
 風戸里高校のあの子、
 男子の制服をきているのに
 女の子みたいでものっすごくかわいいのよ!
 澱みの原因をさがして、
 しかたなくもぐりこんだ交流会だけど、
 ものっすごい収穫だわ。
 京介、あのかわいい子で、ひと山あてましょう。
 写真集とかグッズとかフィギュアとか
 いろいろ売るの。

 あの子はきっと、
『ぼくのもうけは、べつにいいです。
 プロデューサーの豊花(ゆたか)さまに
 ぜんぶあげます』って
 かわいいことをぜったいに
 いってくれるわ。
 ああたのしいわね、
 本来の任務より、燃えてきたわよね!」

「燃えてどうする、
 本来の任務も
 まともにできていないくせに」
 京介とよばれた男子が
 ぼそりとこたえると、
 豊花となのった女子は
「どうして京介はいつも
 そんなにやる気がないのよ!
 こんなおいしい話を
 双子の縁で
 あんたにだけこっそり小声で
 耳うちしてあげているのに!」
 と、眉をつりあげた。

 聖は「こわいよう」とふるえ、
 直哉も眉をよせ、
「あの地球人、ただものじゃないな。
 小声でしゃべってるくせに
 こっちまでしっかりきこえてくるとは
 どんな声帯をしているんだ」
 と、スクールセーターの腕をくんだ。

「――そんなこんなで
 まもなく六月。
 入学や進級から2ヶ月がすぎ、
 気のゆるみはじめた生徒たちを、
 あざやかにしめつけるための、
 服装検査に話はうつるが……」
 司会の長谷が参加者たちをみまわし、
 なぜか聖に
 視線をぴたりととめてくる。

「ほうほう、
 風戸里高校には
 男子の制服をきているのに
 女子っぽい可憐な生徒がいるもんだなあ。
 なんというなまえかね?」

 風戸里高校の委員長が
「1年7組の吉乃聖くん、
 女の子にみえても男子ですよ」
 と気がるにこたえる。

「よしよし、
 ほんとうの女子では
 体にふれたら
 セクハラになってしまうからな。
 うむ、きみが適任だ!」
 長谷はくちもとに笑みをうかべると、
 聖をびしっとさした。

「吉乃聖くんよ、
 起立してわたしのところまで
 きてくれたまえ。
 わたしがこれから
 ただしくてすばらしい
 服装検査の実演をするので、
 きみは検査をされる側の役を
 やってほしい」
「ええっ!」

「ほれほれ、えんりょせずに」
 長谷がずかずかとあゆみよってきて、
 聖の腕をつかんで
 黒板のほうへひきずっていった。

「それでは、はじめるとしよう。
 まずは、上着!」
 長谷はいきいきとした口調で
 宣言した。
「なげかわしいことに、
 内ポケットに校則違反物をかくしている生徒も
 すくなくない。
 そういった悪をつみとるべく、
 われわれ風紀委員は
 つねに正義の請負人たる姿勢をたもち、
 検査では、ちょっと強引なくらいの手つきで
 いどむべしーっ!」

 長谷の手が、聖のブレザーにせまった。
 正義の請負人というより
 単なるチカンのようにかんじられ、
 聖が悲鳴をあげそうになったとき。

 スポーツバッグが、ものすごいいきおいでとんできて、
 正義の請負人に直撃した。

 長谷が「ぎゃふん」と床にひっくりかえり、
 聖の腕のなかにおちたバッグは
 「はむん」と鳴いた。

「わるい、
 いったいどういうわけか
 手がすべった」

 イスのうえで腕をふりかぶった姿勢のまま、
 直哉が堂々とした態度であやまった。

「あの男子、すごいコントロールね」
 豊花という名の女子が、
 オレンジジュースをのみながら、
 双子の男子に
 またささやき口調の大声で、いった。

「こんど京介が
 風紀委員につかまったとき、
 あたしもカバンをなげてたすけてあげる。
 そのさいはお礼にお菓子をおごりますって、
 誓約書をかいてちょうだい」

「いやだ。
 豊花はぜったい、
 おれの顔にもカバンをあてる」
 豊花が「きい」とわめいて、
 京介の顔に
 からになったのペットボトルをあてた。
 
 ほっと息をはいている聖のよこで、
 教室のドアがひらく。
 髪をきっちりとみつあみにしたセーラー服の女子が、
 バレーボールをかかえ、
 部屋にはいってきた。
「すみません、おそくなりました。
 ……あれ、どうしたんですか、
 長谷委員長」
 床にひっくりかっている長谷をみて、
 女子がたずねる。

「夜道でチカンをしようとしたところを
 うっかり撃退されたみたいに
 まぬけにたおれちゃって」

「しつれいなことをいうものではない。
 吉乃くんは男子だぞ。
 ところで塩原くんよ、
 時間にまじめきみが、
 なぜ交流会におくれたのだね」
 長谷がおきあがりながらたずねると、
 塩原とよばれた女子委員は
「風紀委員としての仕事が
 はいったからです」
 ひざ丈のスカートを、かたくゆらす。

「校内に不審者がいると
 さわいでいる生徒がいたので、
 くまなくさがしていました」

「不審者だと?」

 長谷がメガネをきらりと光らせ、
 聖はあわてて直哉と目をあわせる。
 堀木の監視のために、
 校内のどこかに待機している湖子のことかもしれないと、
 しんぱいになった。

 だが塩原は
「でも、だれもみつかりませんでした」
 と首をふったあと、
 かかえたバレーボールを
 長谷にみせる。

「それとは別件なのですが、
 校庭のすみに
 このバレーボールがおちておりまして。
 バレーボール部と体育委員に
 といあわせたところ、
 どちらも備品の数はたりていて
 自分たちのものではないと
 いわれたんです。
 妙ですよね」

 塩原が首をかしげたとき、
 チャイムが鳴った。

 するととつぜん、
 聖と直哉、堀木や委員長をのぞいた
 風戸里高校の委員たちが、
 いっせいに立ちあがった。

 さらにはなぜか、机のむかいがわでは、
 豊花と京介と、長谷や塩原以外の
 虹原高校の生徒が、
 イスをたおして起立する。

 「吉乃聖をつかまえろ!」

 風戸里高校の生徒たちは
 どういうわけか聖を指さし、
 そうさけんだ。

 対して虹原高校の生徒たちは
 ブレザーの面々をさし、どなる。

「風戸里高校を征服するぞ!」


「な、なんなの!?」
 おどろきで動けない聖の正面で、
 豊花が
「わかったわ、これね!」と
 うれしそうに立ちあがる。
「両校の生徒が
 交流会という名のもとにひめた
 わけのわからない闘争心、
 これが澱みの原因だわ。
 京介、光流脈(こうりゅうみゃく)矯正術者の出番よ!」
 豊花がイスの下にかくしていたものを、
 ばっととりだす。

 それはまっ黒なマントと、
 ふしくれだった長い木の杖。

 豊花がまとった黒マントが
 ばさりとひるがえり、
 聖はほほをひきつらせる。

 魔女が、でた。




(3)に続きます☆

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からプラPVも!!
からあげファンタジーPVその3!!
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からあげファンタジーPV!!
プロフィール
HN:
椎野美由貴
性別:
女性
職業:
小説家、楽しいものをたくさんつくるひと!
自己紹介:
ようこそいらっしゃいませ!^^ 小説家の椎野美由貴です。「バイトでウィザード」や「螺旋のプリンセス」などを楽しく書かせていただいております☆ 詳しいプロフィールは→こちら にてどうぞ☆
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