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 聖の視界をまずおおいつくしたのは、
 風戸里高校の委員たち。
 
 おなじ高校の6名は
 悲鳴をあげる聖をかかえあげて
 教室の外へはこびだそうとしはじめた。


「まちなさいよ!」
 黒マントをはためかせた豊花が、
 魔法使いの杖をふりあげて、さけぶ。
「その子はあたしの金づるよ!」

「そこの金好きセーラー服、ふせろ!」
 直哉が豊花にどなり、
 聖をつれさろうとする委員たちにむかって、机をなげつけた。

「金好きセーラー服ってなによ、
 まるでまちがっていないとはおもうけど」

 文句をいいながらも
 姿勢を低くした豊花の頭上を
 机が猛スピードでとおりすぎる。
 委員たちが聖をはなしてにげだそうとしたので
 聖はぶじに解放された。
 だが、直哉が机につづいて
 堀木の巨体までこちらになげつけてきたため、
 あたり一帯は混乱状態となり、
 まともに避難ができない。

「じゃらげっー!」
 さけんだ堀木の塀のような体が
 机と連続して委員たちのうえにおち、
 聖はまきぞえをくって、
 「きゅう」とうめく。

 いつもピンチのときに
 たすけてくれるのはありがたいのだが、
 あの騎士はもうちょっとだけ
 エレガントな方法をとれないのだろうか、と、
 聖は心のなかですこしだけなげいた。

「きっとあいつが風戸里高校のボスだ、
 のっとるためにはボスをたおせー」
 虹原高校の委員たちがさけび、
 直哉に突進していった。

 長谷が「きみたち、いったいどうしたんだね」とあせり、
 塩原が「そうです、ケンカは校則違反ですよ」とおこり、
 安藤も「そもそも今日は、
 たのしい交流会じゃなかったっけ?」
 と首をひねる。
 だが止めにはいった長谷たちを
 まとめて一撃でふっとばしたのは、
 果月直哉。

「売られたケンカは
 163億倍で買いとってやる」
 と、直哉はわけのわからないことをいいながら、
 ビニール傘をふりまわして
 虹原高校チームへとびこんでいった。
「はむふー、もうめちゃくちゃだね」
 スポーツバッグからでてきた葉村が、
 床にちらばってしまったお菓子を
 のこさず口へはこんだ。

「な、なにがどうなっているの……」
 うなった聖に、委員のひとりが、
「吉乃聖をつかまえないと……」
 とつぶやきながら
 ブレザーの腕をのばしてくる。
 しかしその委員は、
 黒マントをゆらした豊花にふんづけられて、
 うごきをとめられた。

「澱みの原因は
 あんたたちの闘争心だとわかったけど、
 理由がまだわからないわ。
 風戸里高校がわの首謀者は
 だれなの?」

 豊花の質問は
 聖には意味不明だったが
 きかれた委員もおなじだったようで、

「……背中がいたい、
 ふみかたが、まるで女王さま……」
 といいのこして、
 がくっと気絶してしまった。

 豊花の魔女スタイルも、女王さま攻撃もこわくて、
 聖はとにかくにげだそうとした。
 だが、豊花がとびかかってくるほうが、はやかった。

「あなた、この事件について
 なにかしっているわね!?」
「いやーっ、ぼくはなにもしりませんよう!」
「ウソよ、ぜったいになにかかくしているわ!」

 豊花はなぜか断定的な口調でいいきり、
 聖にのしかかってくる。

 自分とほとんど体格差のない少女なのに、 
 豊花の腕力は凶暴に強力で、
 聖は豊花に馬のりにされる。
 
 そして。
 
 豊花がのばしてきた手が、
 なんの因果か、
 ブレザーのうえから
 聖の胸にまともにふれてしまった。

「あうっ!」
 聖が全身をこおりつかせると、
「あれっ!」
 と、豊花が眉をよせた。

「どうしてこの子、
 男子の制服をきているのに
 胸があるの?
 どうしてあたしより
 カップ数まで大きそうなの? 
 どういうことよ、
 これはむしろ
 こっち方面のグラビア等で
 売りだしたほうが
 もうかるかも――ぎゃわんっ!」

 豊花がうしろからだれかけっとばされて、
 壁のほうへころがっていった。

 聖が涙目をむけると、
 脚をつきだした姿勢で、
 直哉がものすごくきげんのわるそうな
 鼻息をはいていた。

「はむがっかり、
 直哉、金好きセーラー服に
 先をこされちゃったね、くやしいね」
 葉村がスクールセーターの肩のうえにのぼって笑い、
 騎士は「うるさい!」とどなって、
 聖をひっぱりおこした。

 直哉のうしろにかくれながら、聖が前方をみると、
 目をぐるぐるとまわしている豊花を、
 京介がめんどうくさそうにおこしていた。

「ああ京介、あたしはもうだめ。
 あたしはショックで胸がつぶれそうだから、
 あとはたのんだわ」
 かすれた声で豊花がいうと、
「豊花の胸は、もうそれ以上つぶれようがない」
 と、京介がこたえ、豊花が京介にパンチをくりだした。

 あっさりよけた京介は
 ゆっくりと聖たちのほうへ向きなおった。
 学生服をきた怠惰そうな顔つきの男子の手にも、
 豊花がもっているものとおなじ、
 長い木の杖がにぎられている。

 聖がふるえて、直哉が踏みだそうとすると、
「かんちがいするな」と、
 京介が覇気のない声で、いった。

「おまえたちを攻撃するんじゃない。
 豊花が……妹が、諸事情で再起不能になったから、
 しかたなくなくおれが
 光流脈を浄化するだけだ」

「なんだそりゃ。
 おまえ、ただの地球人じゃないだろう」
 どなった直哉にはこたえず、
 京介が杖をかまえて
 しずかに息をすいこむ。

「流れよ、大地を走る輝く女神。
 黄土を支点に半里まで浄化。
 滞りし澱みは、巽へしずめ」

 教室のなかを、
 風のようななにかが
 とおりぬけた。

「はむみゃー、なに、このふしぎな力!
 天使列の風とはぜんぜんちがう!」

 葉村が直哉の肩のうえで鳴き、
 聖も思わず直哉の腕にしがみつく。
 京介は杖をさげて、ため息をついた。

「澱みがまだきえない……。
 ということは、
 まだ原因がどこかにあるのか」

 京介が聖に視線をむけ
 聖は肩をふるわせた。

「そうはみえないが、
 豊花がいうように
 そいつが澱みの原因なら、
 おれのほうへ引き渡してくれないか。
 負の感情をうみだす思考を
 変えてもらわないと、
 いつまでたっても
 澱みがくりかえす」

「澱みってなんだこら、
 っていうかおまえはいったいなにものだ!」
 直哉はビニール傘を剣のようにつきだすと、
 学生服の魔法使いにむかっていう。

「これ以上、
 聖には指1本ふれさせない。
 聖はぜったいに渡さない」
「めんどうくさいな……」
 京介がため息をつきながらも、
 直哉にむかって走ってきた。

 直哉は聖をうしろにつきとばし、
 学生服の魔法使いへたちむかっていく。
 長い木の杖が
 確認できないほどの速さでふられ、
 直哉のビニール傘が
 強くはじきかえす。

 京介の足が
 直哉のわき腹をねらうと、
 スクールセーターの騎士は
 すばやいターンで回避し、
 ビニール傘をふりおろし、
 魔法使いと騎士の武器が
 ぶつかりあう。

「あらー、なかなかの接戦じゃないの」

 息をのむ聖のよこに、
 いつのまにか金好きセーラー服がならんでいた。

「京介が一撃でたおせない相手なんて、
 けっこうめずらしいわ。
 強いのね、あなたの彼氏」
「かっ、彼氏じゃありませんようっ」
 聖は大あわてで否定したが、
 豊花はくちもとを笑わせる。

「でもさっき
 あなたのことを
『ぜったいに渡さない』なんて
 言っていたじゃないの」
「あれはその、
 きっと、
 職業上の発言でして……」

「あたしもいちど、
 そんなふうにいわれてみたいわよ。
 京介なんか
 あたしと1秒でもはなれられると、
 あからさまに肩の荷がおりたような顔をするんだから。
 『兄』という字は
 『妹を無償でせおって
 下僕のように妹のいうこときく』
 っていう象形文字から
 できているのにね」

「ものすごく初耳ですけど、
 虹原高校の国語の授業では
 そうおそわるんですか……」

「でもあなたの彼氏って、
 ルックスは抜群にいいけど
 ずいぶん気が強そうだから、
 あたしが理想とする従順な下僕には
 ちょっとむかないわね」

「だ、だから、彼氏じゃないんです。
 そういうことをいうと、
 あるひとを暴走させることに
 なっちゃうから
 やめてくださいよう」

「あるひとって、だれよ?
 あっ、あなたの彼氏がピンチ、
 京介、いまがチャンスよ!」

 豊花が興奮気味にさけんだ。

 それまで床でのびていた堀木が
 タイミングわるくおき上がり、
「果月さん、すけだちしますじゃら!」
 と直哉の脚にしがみついていた。
「すけだちじゃなくて、ただのじゃまだろうが、あほー!」
 わめく直哉に、
 京介が杖をふり上げようとした。

 その瞬間。

 教室のドアがけやぶられ、
 廊下からとびこんできた人物をみて、
「ほら、やっぱりきたーっ!」と、聖は悲鳴をあげる。

 長い髪を宙にただよわせているのは、
 風戸里『要塞』所属の騎士であり、
 校内で待機していたはずの、
 湖子だった。

 湖子が身につけているものは、
 いつもの無愛想なワンピースではなく、
 虹原高校のセーラー服。
 不審な部外者とおもわれないよう、
 待機先の制服にわざわざきがえていたらしい。

「天使列『伐倒(ばっとう)』、螺旋回帰」

 湖子が列式唱合をとなえると、
 白い光があふれだし、
 にぎりしめていたボールペンが
 輪郭を急変させた。

 そして、美少女騎士の手にあらわれたのは、
 物騒な長い槍。

 湖子は京介と直哉のあいだへ
 突風のようにわりこんだ。
 
 美麗な槍がきらめき、
 げしっ、と
 学生服の魔法使いをあっさりとふっとばした。

「そんなっ、京介があっさりとーっ!」
 さけんだ豊花を、
 聖はあわててとりおさえる。
「いま湖子さんにちかづくと、
 敵味方関係なく
 もれなくぼこぼこにされますよ!」

「うおお、暴走湖子くんも、
 とてもいいー!」
 とつぜんうしろから
 妙な声援と騒音がきこえた。

 教室の壁がくだけ、
 金色の毛並みのライオンが4頭、
 とびこんできた。
 ライオンは黄金の車をひいていて、
 車のなかから派手な衣装をきた男が、
 おりてきた。

「ど、どうして荒星(あらぼし)王子が
 虹原高校に!?」
「ふふふ、
 おろかなことをきくではないぞ、
 わがうるわしの異母妹よ」
 異世界の王子は
 縦ロールヘアをかきあげていった。

「湖子くんが、地球産のセーラー服と
 ミニスカートと
 ニーソックスなどという
 すばらしきものをみせてくれたのだぞ。
 誇り高き天箱園(てんそうえん)の第1王子荒星さまが
 おとなしくとなりの教室に
 かくれていられなどしないだろう。
 ああ湖子くん、
 もっとちかくで
 よく観察させてくれたまえー!」

 暑くるしく走りよってきた荒星を、
 湖子はふりかえりもせずに、
 槍をふって撃退した。

 荒星が激突した天井に
 ヒビが生じる。
 そしてこんどは、
 くずれた天井から、
 妙な色の服をきた男が、
 床にふってきた。

「おやおや、
 余(よ)の当初の計画よりも
 役者がふえてしまったのである。
 こまったことであるね」

 男がいうと、
 腕にだいたダックスフントらしき犬が
「とらぬタヌキの皮算用ってやつだって、
 でもこの場にいるのはタヌキじゃなくて
 変な力を持った変ないきものばっかりだって」
 と、こなまいきそうな声でこたえた。

「……蹄場隼人(ひづめばはやと)と辞書三号、
 どうしてここに……」

 京介がおきあがり、ふくざつそうな表情でたずねた。
 魔法使いのしりあいらしい男は、
 がれきまみれの床にのんびりとすわり、
「いつものとおり、
 趣味ののっとり活動であるよ」
 と、こたえた。

「今回はちょいと趣向をかえて、
 そのへんにいた虹原高校の風紀委員に、
 他校をのっとる作戦を伝授し、
 天井裏にかくれてみていたのであるよ。
 ちなみにチャイムの音が、
 のっとり開始の合図」

「高みの見物ってやつだって。
 でも天井がぶっこわれて
 うっかり高みからおちて
 舞台に登場しちまったって」
 辞書三号とよばれたダックスフントが
 たのしげにほえ、
 京介が長いため息をついた。

「はむわー、
 イヌなのにしゃべれるんだね、
 でも葉村たちみたいな
 煉魂受皿器(れんごんじゅべいき)じゃ
 なさそうだよね」
 葉村がたずねると、
「小精霊ってやつだって。
 そういうおまえも
 なんだかめずらしい生きものだって。
 なかよくして、地球を制覇しようぜって」
 と、イヌがしっぽをふる。

「……で、派手王子は
 地球でなにをしているんだ」
 直哉が床の上にひっくりかえっている
 異世界の王子へきいた。
 荒星はがばっとおきあがると、
 まき髪をかきあげていう。

「ふふふ、わたしの華麗な作戦がしりたいか。
 わたしはいつものごとく
 わがうるわしの異母妹を、こまらせるため、
 今回はそのへんにいた、風戸里高校の委員に
 命令をくだした。
 かれらに吉乃聖をつかまえさせ、
 わたしがとなりの教室から
 かっこうよく参上するつもりであったのだ。
 ちなみにチャイムの音が、
 捕獲開始の合図」

 聖と直哉と葉村は
 そろって長いため息をついた。

「澱みの原因だった闘争心は、
 この変人どもがしくんだってことね……」
 豊花が黒マントの肩をおとし、いう。

「でも、蹄場先生にしろ
 そこの変な縦ロールヘアの王子さまにしろ、
 風紀委員の交流会があることを、
 よくしっていたわね」

 すると妙な男と派手王子が
 声をそろえてこたえた。

「なぞのバレーボールが
 おしえてくれたのだ」

「バレーボール?」

 聖と豊花が首をかしげたとき。
 教室のすみで、
 白い球体がふわりとうごいた。
 塩原がもってきた、
 持ちぬし不明のバレーボールだった。

 だがよくみれば
 それはボール状の体に、
 手足や翼のついた生きもの。

 なぞの生きもの宙にうかびあがると、
 こぶしをふりあげてさけんだ。

「ばばばーん、
 ついにこの白玉一号(しらたまいちごう)さまの
 時代がきたーっ。
 変な家庭教師も
 変な異世界人王子も、
 光流脈使いも天箱園人も
 みんなまとめて相うちにさせて、
 世界の頂点にたつ真の王者は
 白玉一号さまになるのだー」

 聖をのぞく全員が、
 白玉一号とやらにとびかかっていった。
「ほら、あなたもえんりょしないでっ!」
 豊花に腕をひかれ、聖もつい走りだす。

 教室の窓からとばされていった
 バレーボール風の生物は、
 あかね色の空にきえた。



(4・最終回)に続きます☆

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からあげファンタジーPVその3!!
からあげファンタジーPVその2!!
からあげファンタジーPV!!
プロフィール
HN:
椎野美由貴
性別:
女性
職業:
小説家、楽しいものをたくさんつくるひと!
自己紹介:
ようこそいらっしゃいませ!^^ 小説家の椎野美由貴です。「バイトでウィザード」や「螺旋のプリンセス」などを楽しく書かせていただいております☆ 詳しいプロフィールは→こちら にてどうぞ☆
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