忍者ブログ
ご訪問ありがとうございます! あらゆるご縁に感謝♪ のんびりお楽しみください☆当サイトのご説明もぜひご覧ください♪

「とりしらべまえの規則だから、
 いちおう名のるけど、
 おれの名前は
 果月(かづき)直哉。


 天箱園(てんそうえん)王家認定一級騎士で、
 現在の所属は、
 宮廷騎士団『空明祈覇(くうめいきは)』
 第五部隊『護彗星(ごすいせい)』
 地球派遣騎士だ。

 おれの質問に、ちゃんとこたえろよ。
 ぜんぶはけよ。
 このごにおよんで、
 むだな抵抗とかするなよ。
 そうしないと、
 ほんらいならはかずにすむ
『ぐふっ』とか『げふっ』とかいう
 うめき声もはかされて、
 本日のポンコツ犯人グランプリに
 されるんだからな」

 みた目はふつうの
 男子高校生である派遣騎士が、
 ふるびた応接ソファのうえで、
 制服ズボンの長い脚を
 いきおいよくくむ。
 
 テーブルのうえには、
 犯人からとりあげた荷物。
 騎士の正面にすわらされたカメラマンは、
 げんなりとうなだれて、
 そのとなりにいる聖も、
 つられてブレザーの肩をちぢこまらせる。

「で、本日のポンコツ被害者祭り」
 果月直哉が聖に視線をうつしてきたので、
 聖は「は、はいっ」と背すじをのばす。
 騎士は目をほそめ、
 あきれたようなため息をついた。
「おまえは、ほんっとうに全世界的にドジだよな。
 このあいだの事件から、半月もたたないのに、
 また被害者になるなんてよ」
「ご、ごめん、ついゆだんしちゃって……」

「はむみゅ、でも聖はそんなふうに、
 うっかりドジっ子なところが、
 かわいいんだよ」
 聖の足もとで、
 大きなハムスターが
 スカーフのすそをゆらした。

「はむふー、だからって
 被害者クイーンになっていいわけじゃ
 ないけどね。
 そのために、あらゆる事件をおこさせないよう、
 直哉、お仕事がんばってね。
 葉村はこれからコンビニの新商品
『こんがり灼熱情熱やきプリン』を食べるという、
 だいじなやくわりがあるからね」
 葉村が器用にスプーンをつかって
 プリンを食べはじめ、
 直哉は「おきらくカロリー消費生物め」と
 鼻を鳴らしながら、
 事件報告書をひらいた。

「犯人のとりしらべのあとに、
 被害者として聖の話もきくから、
 すこしまっていろ。
 ……ええと、報告書って、
 まず日づけから書くんだっけ。
 おれは犯人の逮捕はとくいだけど、
 書類仕事はにがてなんだよな」

 シャーペンをにぎった直哉が、
 試験まえの学生のような顔でうなる。
 壁のふりこ時計が
 レトロな音をひびかせた。

 聖のよこには窓があり、
 夕ぐれ色にそまりはじめた空と、
 電車の高架がみえる。
 この場所は、駅のちかくにたつ、
 雑居ビルの2階。
 事務机や棚にざつぜんとうめつくされた室内は、
 ちいさな事務所か会社をおもわせるが、
 正式名称は、風戸里(かざとり)『要塞』。
 この街ではたらく地球派遣騎士の
 つめ所だ。

 応接セットで
 とりしらべがおこなわれたり、
 加害者のすぐよこに
 被害者がすわらされているのは、
 部屋の面積の問題で、
 ほかに場所がないせいだ。

 けれど聖は、もう事件のこわさは
 かんじない。
 目のまえに果月直哉がいるだけで、
 じぶんの世界は、
 こんなにも安定してしまう。

「はむるる、聖、ぽやーっと
 うっとりした顔をして、
 どうかした?」

 足もとから、葉村がプリンを食べながら
 声をかけてきた。

 聖はわれにかえり、
 あわてて言いかえす。
「ぽやーっとなんて、していないよ。
 それよりも葉村、
 今日は湖子(ここ)さんは
 おやすみなの?」
 この『要塞』にいる
 もうひとりの騎士のことを、
 聖はたずねてみた。

 直哉がにがてな書類作業を
 わざわざしているということは、
 事務担当であるあの美少女騎士は
 やすみなのだろうかと、
 じつはきにかかっていた。

「はむみゅ、
 湖子なら近所のスーパーに、
 備品の買いだしに行っているよ。
 今日は台所用品の広告がはいってね、
 夕がたからタイムセールもあるから、
 しばらくは
 帰ってこないとおもうよ」

「……へえー、『要塞』なんていう
 ひきしまったなまえのくせに、
 騎士の仕事はずいぶん日常的だし、
 部屋もずいぶんとせまくて、
 ごちゃついているんだなあ」
 カメラマンが、ぼそりと感想をのべた。

 とたん、ばきっと音がして、
 直哉の手もとで
 シャーペンのシンが折れたので、
 聖はびくっと肩をふるわせる。

「こんなせまくるしい
 騎士のつめ所もめずらしいから、
 記念に写真にのこしておこうっと」
 カメラマンが服のポケットから、
 かくしていた小型カメラをとりだす。
 すると直哉が床から
 ビニール傘をひろいあげ、
 カメラをついてふっとばした。
 写真家は
「だからどうして騎士の武器が、
 傘なんだよー」と、わめいた。

(5)につづきます

拍手

PR
[694]  [767]  [768]  [769]  [770]  [771]  [772]  [773]  [774]  [693]  [692
からプラPVも!!
からあげファンタジーPVその3!!
からあげファンタジーPVその2!!
からあげファンタジーPV!!
プロフィール
HN:
椎野美由貴
性別:
女性
職業:
小説家、楽しいものをたくさんつくるひと!
自己紹介:
ようこそいらっしゃいませ!^^ 小説家の椎野美由貴です。「バイトでウィザード」や「螺旋のプリンセス」などを楽しく書かせていただいております☆ 詳しいプロフィールは→こちら にてどうぞ☆
カレンダー
04 2017/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
バーコード
にほんブログ村さん
ブログ内検索
Copyright © karaageshiinom.gjgd.net All Rights Reserved. 忍者ブログ [PR]
忍者ブログテンプレート