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「なあ騎士さん、
 とりしらべがおわったら、
 家に帰してもらえるんだよね?


拍手

 いままで撮ったフィルムと
 写真はあきらめるけど、
 カメラはかえしてもらっても
 いいでしょ」

 犯人が言うと、
 騎士は書類へ書きこみをしながら、
 ぶっきらぼうにこたえた。
「おまえの身がらと押収品は、
 今日じゅうにぜんぶまとめて
 天箱園(てんそうえん)へおくりかえす」
「えー、そんな、
 ただ写真を
 うつしていただけなのに?」
 カメラマンがイスからたちあがり、
 手をふりまわしてうったえる。

「そりゃ、地球人をかくし撮りしたのは、
 ちょっとわるかったとは
 おもうけどさ。
 でも、ひとにケガをさせたとかじゃ、
 ないんだよ。
 オレたち異世界移民は、
 戦争だらけの天箱園からにげてきたんだ。
 軽い罪くらいは、大目にみてほしいよー」

「罪が軽いか重いかなんて、
 そんなものは関係ない」
 直哉が顔をあげ、光の強い目で、
 違法移民をみすえる。
「地球人にめいわくをかけることが、
 すでに問題なんだ。
 おれたちはこの世界に、
 いさせてもらっている。
 そのことをわすれるな」

 カメラマンが
 いごこちわるそうにイスにもどり、
 葉村は「はむわー、プリンおかわりー」と、
 冷蔵庫へかけて行った。

「ああもう、なんなんだこのシャーペン、
 さっきからすぐにシンが折れるぞ」
 直哉が歯ぎしりをしながら
 シャーペンをにぎったので、
 聖は苦笑しながら声をかけた。

「それ、このあいだ
 あたらしく発売されたペンでしょう。
 ぼくももっているよ。
 軽くてもちやすいんだけど、
 直哉みたいに握力が強くて、
 力いっぱい文字を書くひとだと、
 つかいづらいのかも」

「くうう、そんな文具の事情で、
 人間がふりまわされるのは
 なさけない。
 負けるもんか、
 ぜったいにつかいこなしてやる」
「文具相手に、
 負けずぎらいにならないでよう……。
 指をこうして、
 もうちょっと、やさしくもったら……」

 聖がのばした指が、
 シャーペンではなく、
 直哉の指にふれた。

 じぶんとはちがって、
 いかにも男子らしい骨ばった感触と、
 体温をかんじる。
 聖は「きゃわっ」と
 ついとびはねてしまった。

 するとイスがうごいて、
 うしろの棚にあたり、
 棚のうえにつんであった大きな箱が、
 聖の頭上にふってきた。

「聖、あぶない!」

 直哉がテーブルをけって、
 聖にかけよってきた。

 騎士は左手で
 聖を壁ぎわにかばい、
 右手でおちてきた箱を、
 難なくうけとめた。

「本日の被害者め、
 本日のしたじきぺちゃんこ大賞にも
 なるところだったぞ。
 全地球『要塞』対抗大食い選手権の
 優勝トロフィー、
 けっこう重たいんだから」

 直哉がほっとはいた息が、
 聖のひたいにあたる。
 そして聖は、きづく。

 すぐ目のまえに、直哉の顔がある。
 聖のブレザーの胸に、
 ひきしまったスクールセーターの
 むな板をかんじる。

 とっさの行動だったから、
 しかたがないといえばそれまでだが、
 これではまるで、
 ほとんどだきあっているような状態だった。

「は、ううう……」

 頭がクラクラした聖をみて、
 カメラマンが、
「……あれ、ふたりのそのだきあう構図、
 まえにもどこかでみたような……」
 とつぶやいた。

 さらには、ほてった聖のほおに、
 氷のような視線がとんできて、
 聖は背すじをこおらせる。

 直哉の体ごしに『要塞』の玄関へ目をやると、
 買いものぶくろをさげた少女がひとり、
 たっていた。

 白い肌、
 ほそくくびれた腰までのびた、
 つややかな髪。
 うつくしくも、
 感情と温度を
 まったくやどさない瞳。
 もうひとりの騎士、
 台城(だいしろ)湖子(ここ)が、
 無言で買いものぶくろに
 手をつっこんだ。

 しなやかな指さきが
 ひっぱりだしたのは、
『要塞』の台所でつかうつもりで
 買ってきたのだろう、
 新品の――
 包丁。

 表情がないわりに、
 瞳の色を妙に冷たくしながら、
 湖子は包丁をなげてきた。
 超高速で、聖にむかって。

「うきゃああああ!」
 さけんだ聖の十数センチうえで、
 包丁は壁につきささり、とまった。

 刃先は、壁にかけられた
 額ぶちのとめ具を、
 みごとにさしていた。
 額ぶちの中身は、大食い選手権の賞状。
 さきほどのさわぎで、
 額ぶちもかたむき、
 聖のうえにおちそうになっていたらしい。

「……こ、湖子さん、
 どうもありがとうご、ざいます……」
 だからって包丁はこわいんですけど、と
 おもいつつ、
 聖はいちおうお礼を言う。

「はむふふ、この三人の構図は、
 三角形かもね」
 葉村が笑った。
 そのとなりで、カメラマンが
 とつぜんさけんだ。

(6)へつづきます

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プロフィール
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椎野美由貴
性別:
女性
職業:
小説家、楽しいものをたくさんつくるひと!
自己紹介:
ようこそいらっしゃいませ!^^ 小説家の椎野美由貴です。「バイトでウィザード」や「螺旋のプリンセス」などを楽しく書かせていただいております☆ 詳しいプロフィールは→こちら にてどうぞ☆
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